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読書の秋・10月のおすすめ本

みなさん、ごきげんよう。

神無月は朔日。

 

極端に短い梅雨、

雨降らずの炎天続きの7月、8月の酷暑もようやく落ち着き、

これからは、食に、芸術に、スポーツにと楽しい季節がやって参りました。

 

昭和の思想家・安岡正篤氏の言葉に

 

一、新秋なり。暑中の惰気を一掃し、颯爽として清健の気を振起すべし。

一、読書の好季なり。早暁・深夜・古教・心を照し、心、古教照すべし。

 

とありますが、私もつい本を手に取ってしまう今日この頃で、

この秋におすすめの本(本記事で紹介するテーマは”新しい日本”)をご紹介できたらと思います。

※タイトルに紹介書籍のリンクを貼っています。


●ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)東の国から 新しい日本における幻想と研究

 

先日始まったNHK朝ドラ「ばけばけ」のモチーフにもなっている小泉八雲の著作。岩波文庫の新刊(復刊)です。

岩波=難しい、という印象もありますが、こちらは口語訳で読みやすい。

本書の「柔術」という章では、日本人と西洋人の身体観の違いに触れており、身体を動かすのが楽しい秋に新鮮な視点をもたらしてくれるような示唆があります。


●野中郁次郎知識創造の経営 知識創造の方法論

 

いわずもがなの日本の経営学書としての権威でありまsが著者が2025年1月25日にご逝去ということで故人の追悼の意を表すとともに取り上げさせていただきました。SECIモデルや『失敗の本質』で知られる経営学者ですが、グローバル化の時代、大企業だけではなく、日本の中小企業や個人の商店に至っても、あるいはビジネスの領域だけではなくアートの領域でも活動を拡張していくために大切なコアをどう明確にして行くかは課題。そのコアなものを明確にし、共有化していくための哲学や具体的な方法論が記されています。


鬼滅の刃(全23巻)

現在公開中の『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座あかざ再来』は、

世界興行収入で日本映画歴代1位を達成(累計823億円超)。

国内でも 歴代2位(約341億円) にランクインしました。

物語はシンプルですが、日本思想に根ざした骨太な構造を持ち、

世阿弥の複式夢幻能にも通じる深さがあります。

猗窩座が「至高の領域」を求めた理由、炭治郎が到達した「透きとおる世界」との対比は、

単なるバトルを超えて「強さのマウントの発想」と「脱力のその先にあるもの」の違いと、といえるのではないでしょうか。

エンタメとしてはもちろん楽しめますが、私たちに深い教訓を投げかけてくれる作品です。


●クリストファー・ボグラー作家の旅 ライターズ・ジャーニー 神話の法則で読み解く物語の構造

 

前述の東宝の鬼滅の刃の大ヒットも然りですが、今年は日本でも任天堂、SONYなどを始めエンタメ・ゲーム関連企業の時価総額が自動車大手を超えたとの日経新聞のニュースもあり、

ブランドには必ず共感があり、共感には物語があり、その物語には「型」がある。

Apple、NIKE、patagonia などもストーリーテリングをうまく活用してきた企業と言えるでしょう。

これらの企業のブランディングに共通するのは、機能やスペックのアピールではなく、製品にまつわるストーリーや企業哲学を何より先に発信していることではないでしょうか。

今や個人の単位でも誰もが発信して当たり前の時代に、とりわけ動画文化が普及した今、ビジュアルストーリーテリングの重要性が顕在化してきたと言えます。

本書は、古今東西の神話に共通するストーリーテリングの普遍のパターンを、私たち誰もが知るような映画を事例に解説されて学べる入門書としておすすめかと思います。鬼滅の刃もこの神話の法則から構造を読み解くとやはりその通りにできていたりします。


●鍵山秀三郎「人間を磨く言葉

著者はこちらも本年2025年1月25日にご逝去。イエローハット創業者であり「掃除道」トイレ掃除の神様として知られる鍵山秀三郎氏を偲んで。

鍵山秀三郎さんは、たった一人で自転車の行商から事業を始め、日本有数の自動車用品チェーンへと育て上げました。

しかし、彼の人生を語るうえで欠かせないのが「掃除」の物語です。

創業期、鍵山さんは社員に少しでも心地よく働いてほしいと願い、毎朝のトイレ掃除を自らの手で始めました。

誰にも強制せず、黙々と一人で取り組むその姿は、当初はほとんど誰の目にも留まりませんでした。

床にかがみ、手を伸ばして掃除をする鍵山さんを、社員はただ遠巻きに眺めるだけだったそうです。

 

それでも鍵山さんは続けました。日々の小さな積み重ねはやがて共感を呼び、10年後には少しずつ社員が手伝い始め、

やがて会社全体に掃除の輪が広がっていきました。

「人の心の荒みをなくしたい」

そのシンプルな願いが、社風を穏やかで温かいものに変えたのです。

さらに、この共感の輪は社外へも伝わりました。「掃除に学ぶ会」「日本を美しくする会」として地域に広がり、学校の荒れた環境が落ち着きを取り戻し、暴走族が姿を消すなど、掃除の力は人の心を静かに変えていきました。ブラジル、台湾、中国、ルーマニア、イタリア、ハンガリー…世界へもその輪は広がりました。

弊社代表も2007年から和歌山のそうじに学ぶ会の世話人として例会に参加しております。

鍵山さんの掃除は、ただの清掃ではありません。手を動かし、心を込めること。その日々の実践が、やがて人の心をつなぎ、共感の物語を紡いでいったのです。その鍵山秀三郎は偉人の言葉にどう向き合い、学んできたのか。掃除の実践と思想に裏打ちされた学びがあります。

 

以上、5名の著者の皆様からの作品をご紹介いたしました。

このなかからあなたの「読書の秋」を満たす一冊が見つかれば幸いです。

それではまた。

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村上 寛和

株式会社WithUp代表取締役/思想編集家・映像作家

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