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【Blog】禅の食事にちなんだ現代病から抜け出す“食軸”のはなし〜

去る11月23日は元々「新嘗祭にいなめさい」の日。天皇が新穀を神々に供え、収穫と国の安寧に感謝する宮中祭祀です。

儀式は皇居の「神嘉殿」で、灯明だけを頼りに非公開で夜通し行われます。天皇自ら新米や粟などの「神饌しんせん」を供え、神々と同じ米や酒を口にする瞬間がクライマックスです。

新嘗祭は神話時代(天照大神)にまで遡る古い祭儀で、飛鳥時代に制度化。応仁の乱で一度途絶えましたが、江戸時代に復活しました。

明治政府は11月23日を祝祭日に制定しましたが、戦後、GHQは宗教色の強い祝祭日の見直しを指示。日付を残しつつ名称を変更し、1948年に現在の「勤労感謝の日」となりました。

研究者によれば「たべもの」という言葉は“神々からの賜り物”が語源とのこと。自然の恵みと労働への感謝を忘れずにいたいものです。

(参考記事:読売新聞 https://www.yomiuri.co.jp/koushitsu/20241111-OYT1T50164/)

そして今年もあとひと月となりました。

季語としても使われる**臘八会ろうはちえ**の時季ですが、禅宗では12月1日から8日までを「臘八大摂心ろうはちおおせっしん」と呼び、朝から晩まで坐禅三昧の一年で最も厳しい修行が行われるそうです。

ということで今回は禅にちなんだ食のはなし。


 

情報過多の時代に、最も欠けているもの

 

便利さが増すと同時に、「現代病」に悩む人は増えています。

自己免疫疾患、アトピー、喘息、倦怠感、原因不明の不調、メンタルの揺れ——。

ネットやSNSには無限の健康情報があふれ、小麦断ち・グルテンフリー、砂糖断ち、プロテイン、ヴィーガン、地中海食、ファスティング、腸活……と選択肢が多すぎるため、何が自分に合うのか迷子になりがちです。

そこで必要なのは、流行に左右されない**“自分の身体が判断できる軸”**。

私はこれを 食軸しょくじく と呼んでいます。


 

食軸とは?

 

食軸という言葉は辞書に載ってそうで案外なく、私が便宜上、造語にしたものです。

身体に体幹や軸があるように、心に軸があるように、**食にもちょうどいいバランスのところに“戻る基準”**が必要だという考えです。

宗教でも思想でも流行でもありません。

“身体と心が調う方向に戻るための一本線”——それが食軸と考えています。

ペンにも重心があります。


なぜ食軸が必要か?

 

多くの現代病に共通する原因は、

  • 腸の疲れ(過食や体質に合わないもの)

  • 慢性的な炎症

  • 過剰なストレス刺激

 

これらです。

私自身、喘息・アトピー・倦怠感・自己免疫的症状を経験しましたが、薬に頼らず食事で改善してきました。家族も同様です。

結論はシンプル。

“何を食べたか”より、“何を引いたか”。


食軸の2ステップ

STEP1:まず“五毒”を抜く

 

腸の炎症を起こしやすい食品:

  • アルコール

  • 小麦粉

  • 砂糖

  • 植物油(サラダ油・キャノーラ油など)

  • 乳製品

 

一定期間やめるだけで、アレルギー・皮膚炎・喘息・自己免疫的症状が軽減するケースは少なくありません。

※体質や期間は調整が必要です。

これは娘の事例ですが、ステロイドなし、四毒抜きで3ヶ月もしないうちにアトピーの肌が元に戻り、以来、7年以上経っていますが症状は出ていません。


 

STEP2:精進出汁(だし)で身体の基音を整える

 

五毒を抜く「引き算」だけでは苦痛になりがち。

そこで禅宗の精進料理の知恵を取り入れます。

  • 主食:玄米・白米

  • 汁物:精進出汁の味噌汁

  • 添え物:煮豆、佃煮、ごま塩

 

これにより、

  • 必要なミネラル・アミノ酸摂取

  • 腸に優しい旨味

  • 食欲の安定

  • 調理の手間・費用の削減

 

が可能になります。


 

「まごはやさしいわ」と精進出汁

 

大豆・昆布・椎茸・干瓢などは、腸活のトレンド**「まごはやさしいわ」**の栄養素にも対応しています。

  • ま(豆):良質なたんぱく質、食物繊維、ホルモンバランス

  • ご(ごま・種実類):抗酸化作用、血流改善

  • は(発酵食品):腸内フローラ改善、免疫強化

  • や(野菜):ビタミン・食物繊維、免疫力向上

  • さ(魚):脳・心臓の健康、炎症抑制

  • し(椎茸・キノコ類):免疫調整、腸内環境改善

  • い(芋類):便通改善、体力回復

  • わ(海藻類):甲状腺・骨・便通改善

出汁と出し殻の二段構えで、腸を整えつつ必要な栄養を効率的に摂取できます。

まごはやさしいわ、がほぼ入った禅の食事。器は応量器


精進出汁の効果

  1. 吸収しやすいエッセンス

    • アミノ酸・ミネラル・水溶性ビタミンが液体に移行

    • 腸が疲れている人への“飲む点滴”

     

  2. 出し殻も栄養豊富

    • 食物繊維・脂質・脂溶性ビタミンを補完

    • 栄養は減らず、移動するだけ

     

  3. 腸への負担が少ない

    • 消化が容易で炎症悪化を防ぐ

     

  4. 少量でも満腹感を得やすい

    • 食物繊維と旨味(グルタミン酸・グアニル酸)が満足感を早める

    • よく噛むことでGLP-1・レプチン・セロトニンが分泌


判断基準は“血糖値と便”

  • 食後の血糖値の乱高下や眠気・気だるさ

  • 便:匂いが薄い、形が整っている、するっと出る、拭かなくてもOK

 

これらで腸の状態を確認できます。

バナナ1本分の便が翌日に出るようになれば、腸内環境は安定していると判断できます。


 

食軸を持つと起こること

  • 五毒の害(炎症)が軽減

  • 少量でも満足、腹8分で十分

  • 腸壁が修復され免疫安定

  • 炎症が落ち着き現代病リスク低下

  • 流行に振り回されず価値判断できる

  • メンタルが穏やかになる

  • 調理がシンプルになり、献立作りの負担・コストが減る

 

食が安定すると、生活リズムそのものが整います。


おわりに:昔の日本の食卓に戻るだけ

 

食軸は新しい健康法を主張するものではありません。

昔の日本人が行っていた食養生に照らし合わせ、今の時代には周り巡って新しいと思ったので便宜上造語にさせていただいただけです。

静かに自分の身体へ戻る一本の軸を持つことが、私たち自身の免疫・心・身体を整える土台になります。

加工食品を減らし、少ない食材で成り立つ食生活は、自然環境への負荷を減らし、他の命と共生する未来への一歩にもなります。

玄米・白米のお粥、精進出汁の味噌汁、ごま塩、精進だしガラでつくった佃煮——

あとはこれを軸に、体質や生活実態に応じてオプションでおかずを加えながら、栄養を補ったり、食卓を彩ったりとアレンジをしていくという発想なので自由度も高い。

現代的な食生活に慣れてしまっていると地味すぎる、と先入観もあるかもしれませんが、体調には変えられません。

むしろ、日頃食べ疲れ、飲み疲れと文字通り食傷気味な方ほど新鮮な感覚を得られるかもしれません。

是故聖人不治巳病、治未病

(名医は病気になってからの患者を治すのではなくて未だ病気になっていない人を治す。)

中国古典「黄帝内経こうていだいけい

といいますが、食軸を中心とした生活を守っていると医者いらずになりそうです。

 

 

 

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村上 寛和

株式会社WithUp代表取締役/思想編集家・映像作家

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